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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第40章 【第三十五話】インクの檻



椅子に深く腰を沈めていた男が、組んでいた足を解く。

ティキ・ミックが、軽く目を見張った。


「……なに、お前」

意外そうな声。

「少年のこと、好きだったの?」

ロードは、悪びれもせず嬉しそうに頷く。

その光景に、ラビの眉がぴくりと動いた。

だが。

今はそんなことに構っている余裕がない。


ティキがゆっくり立ち上がる。

テーブルへ手を向けた。


「まあまあ、せっかく来たんだ。いきなり殺し合いってのも味気ないだろ」

席を示す。

「座れよ。まずは話でもしようぜ」

余裕。

まるで全てが予定通りみたいな態度。

だが、アレンは一歩も動かない。


「お断りします」

静かな声。

「食事は、時間がある時にしますから」

ティキの口元が僅かに歪む。


「その時間……」

ゆっくりと、開けた縁の方を見ながら続けた。

「あとどれくらいあるか、知りたくない?」

嫌な気配が走る。


ロードがくるりと回って、塔の縁へ立った。

吹き抜けの先には、何の遮りもない。

ただ、外界が広がっているはずだった。


「外、絶景だよぉ」

無邪気な声。

けれど、その軽さが異様だった。

全員、引き寄せられるように縁へ近づく。
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