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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第5章 【第四話】黒衣に宿る祈り


私は息を整え、刃を構え直す。

いけない。

今、向き合っているのはリナリーだ。

ラビのことへ意識を奪われている場合ではない。

「ごめんなさい。少し、気が逸れたわ」

「大丈夫?疲れたなら、ここまでにしましょうか」

戦う者の鋭さを消し、リナリーがすぐに心配そうな表情へ戻る。

私は首を横へ振った。

「ううん。もう大丈夫」

そう答えた時だった。

鍛錬場の入口から、乾いた足音が響いた。

それだけで、空気が僅かに変わった気がした。

視線を向けると、長い黒髪の青年が立っていた。

神田。

昨日、この場所で一人刀を振るい、今朝、食堂で初めて言葉を交わした青年。

黒の団服の裾には、薄く埃が付着している。腰に提げた刀の鞘が、歩みに合わせて微かに音を立てた。

神田の視線が、私とリナリーへ向く。

正確には、私の両手に顕現した白銀のレイピアへ。

昨日感じた、張り詰めた魂の響きが、再び胸の奥を掠めた。

人の魂には、それぞれ異なる響きがある。

けれど、神田から伝わるものは、ラビのように二つの音が重なっているわけではなかった。

ただ、ひどく鋭い。

冷たく、張り詰め、誰かに触れられることを拒むように研ぎ澄まされている。

その奥で、押し殺された痛みのようなものが、軋む音を立てている。

けれど、それが何なのかまでは分からない。

分かるはずもなかった。

神田はしばらく無言でこちらを見ていた。

やがて、低い声が落ちる。

「……遊びなら、他所でやれ」
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