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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第5章 【第四話】黒衣に宿る祈り


次の瞬間、再び刃と脚が交わる。

踏み込む。

受ける。

躱す。

返す。

白銀のレイピアと、リナリーの黒い靴がぶつかるたび、鋭い音が石壁へ反響した。

私の喉の奥では、ニルヴァーナが熱を帯び続けている。

大きく歌声を響かせているわけではない。

けれど、二振りの刃を形として留めるための旋律は、呼吸の奥で途切れることなく続いていた。

「へぇ……」

壁際から、感心したような声が届く。

視線を向ける余裕はなかった。

それでも、ラビがこちらを見ていることは分かった。

その声に含まれているものが、初対面の時の浮ついた軽さとは違っていたからだ。

リナリーの蹴りを受け流しながら、ほんの一瞬だけ、壁際へ視線を滑らせる。

ラビは柱へ背を預け、腕を組んだままこちらを見ていた。

口元には、薄い笑みがある。

けれど、翠の瞳は笑っていない。

私の剣筋。

踏み込みの深さ。

刃が揺らぐ瞬間。

呼吸が変化する間。

光がどのように形を保っているのかまで、ひとつひとつ記憶していくような、静かな目だった。

また、二つの音が重なる。

面白そうに見物するラビの音。

その奥で、出来事を正確に書き留めていくような、乾いた音。

胸の奥が、一瞬だけ冷えた。

「ティファ!」

リナリーの鋭い声が飛ぶ。

はっと視線を戻した時には、低い姿勢から放たれた足払いが迫っていた。

「……っ!」

咄嗟に後方へ跳ぶ。

どうにか直撃は避けたものの、着地した足が僅かに揺らいだ。
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