第39章 【第三十四話】約束を守るために
ヴェインが、初めてはっきりと目を見開いた。
「……その願いを、力に変えるのか」
ティファは答えない。
答える余裕などなかった。
限界を越えていることは分かっている。
それでも、ここを越えなければ戻れない。
ラビのもとへ。
皆のもとへ。
――絶対、戻ってこいよ。
――約束、破んなよ。
耳の奥で、あの声が響く。
この一撃は、彼のもとへ帰るための一撃だ。
ティファは、光を帯びた双剣を握り締めた。
「――イノセンス、最大解放」
その瞬間。
白銀の光が、爆ぜた。
霧が吹き飛び、崩れかけた空間全体が眩い光へ染まる。
刃の輪郭が崩れ、粒子のような光が空中へ舞い上がる。
それらが再びティファの両手へ収束した時、二振りのレイピアは、純粋な光そのものへ姿を変えていた。
喉が焼ける。
呼吸をするだけで、激痛が走る。
口の中へ、鉄の味が広がった。
それでも、ティファは刃を構える。
「……これが私の覚悟よ」
ヴェインは、白銀の光の向こうで静かに目を細めた。
「見せてみろ」
霧が揺れる。
「君が、自分のまま選ぶという力を」