第39章 【第三十四話】約束を守るために
アレンが、歯を食いしばった。
「……行くしか、ありません」
絞り出すような声だった。
ラビが鋭く振り返る。
「アレン!」
「僕だって、置いていきたいわけじゃありません!」
アレンの声が荒くなる。
「でも、ティファが僕たちに道を残してくれたんです」
ラビの顔が、ひどく歪んだ。
「そんなの、納得できるかよ……!」
「僕も納得なんてしてません!」
アレンは霧の向こうのティファを見た。
「でも、進まなきゃいけないんです……!」
アレンがラビの肩を掴む。
「行こう、ラビ」
「離せ……!」
「ラビ!」
アレンの手に、さらに力がこもる。
「ティファを信じてください!」
霧越しに、ラビがティファを見る。
今にも泣き出しそうな顔だった。
けれどティファは、白銀の光を纏ったまま、真っ直ぐ立っていた。
怖い。
本当は怖い。
それでも、退けない。
神田が残った。
クロウリーも残った。
仲間が先へ進むために。
なら、今度は自分が踏み止まる番だ。
ティファは、ラビを見た。
「……行って」
声が震える。
「お願い。ラビ」
ラビの顔が苦しげに歪んだ。
「……ティファ」
「必ず戻るわ」
ティファは、喉の奥へ込み上げるものを押し込める。
「約束する」
ラビは、霧の壁へ拳を押し当てた。
その手は震えていた。