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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第37章 【第三十二話】闇に沈む江戸



長い睫毛が震え、ゆっくりと紫紺の瞳が開かれる。

ぼやけた視界の中で。

最初に映ったのは、白色の髪だった。


「……アレン、くん……?」

掠れた声。

アレンは安心させるように微笑む。


「はい」

その柔らかな声に。

リナリーの目元がじわりと潤んだ。

アレンは小さく息を呑む。


「……すみません」

掠れた声だった。


「え……?」

リナリーが目を瞬かせる。

「どうして……謝るの……?」

リナリーが静かに問いかける。


「…スーマンのことなら、助けてくれた……」

途切れ途切れの声。

「スーマンは……無惨に殺されただけじゃないよ……」

その言葉に。

アレンの表情が僅かに揺れる。

リナリーは震える指で、そっとアレンの服を掴んだ。


「スーマンの心は……きっと……」

涙が滲む。

「アレンくんに……救われた……」


静かな沈黙。

夜風だけが、優しく吹き抜けていく。

そして。

リナリーはゆっくりと顔を上げた。


「……おかえりなさい、アレンくん」

その瞬間。

アレンの目が大きく見開かれる。


まるで。

ずっと帰る場所を失っていた子供みたいに。


言葉を失ったまま、ただリナリーを見つめていた。


ティファはその横顔を見て、胸の奥が静かに締め付けられる。

ラビもまた、何も言わなかった。

ただ。


「……よかったさ」

ぽつりと、優しく呟いた。
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