第37章 【第三十二話】闇に沈む江戸
その言葉に、場の空気が少しだけ緩む。
ティファも安堵したように息を吐いた。
その周囲では、瓦礫の中から次々と人影が起き上がってくる。
「っ…… 」
マリだった。
起き上がりながら、頭を押さえている。
少し離れた場所では、ティエドールが苦笑していた。
「はは……まだ生きてるみたいだねぇ」
「げほっ……」
ミランダも咳き込みながら身体を起こす。
ティファがすぐ駆け寄った。
「ミランダ!」
「だ、大丈夫……」
顔色は悪い。
けれどちゃんと笑おうとしている。
その隣では、クロウリーが半泣きになっていた。
「わ、吾輩、生きてるぅぅぅ……!」
「騒ぐな馬鹿者」
ブックマンが小突く。
だが、その表情には確かな安堵が浮かんでいた。
そして。
ブックマンの視線が、ゆっくりアレンへ向く。
「……生きとったか、小僧」
クロウリーも目を潤ませながら駆け寄った。
「あ、アレン!!」
「わっ! クロウリー苦しいです!」
半泣きのクロウリーに締め上げられ、アレンが慌てる。
ミランダも嬉しそうに口元を押さえた。
「良かった……本当に……」
チャオジー、マオサ、キエの三人も、呆然としたままアレンを見つめている。
まるで死者が帰ってきたみたいな空気だった。