第37章 【第三十二話】闇に沈む江戸
「……っ」
ティファ自身も驚いたように目を見開く。
止めようとしても、次から次へ涙が溢れてくる。
アレンが慌てた。
「えっ、ティファ!? ど、どこか痛いんですか!?」
「ちが……っ」
掠れた声。
ティファはぐしゃぐしゃになった顔のまま、小さく首を振る。
「生きてたから……」
また涙が落ちる。
「もう……会えないかと……思って……っ」
アレンの表情が、ゆっくりと崩れた。
胸が締め付けられるみたいに、苦しそうに。
「……ごめんなさい」
一瞬だけ迷ったあと、アレンはそっとティファの涙を拭った。
「心配かけました」
ティファは何度も頷く。
泣きながら笑おうとして、余計に涙が零れた。
その様子を見ていたラビが、ふっと苦笑する。
「ティファ、泣きすぎなんさ」
「だ、だって……!」
「うん、まぁ……それはしゃーないか」
ラビの声音も、少しだけ柔らかかった。
けれど次の瞬間、ティファが涙を拭おうとしてよろける。
「わっ……」
アレンが反射的に支える。
その横で。
「……チッ」
盛大な舌打ち。
神田だった。
アレンが即座に振り返る。
「何なんですかその舌打ち!」
「うるせェ」
「僕何もしてませんよね!?」
「泣かせてんじゃねェよ」
「えぇ!?」