第4章 【第三話】檻と家のはじまり
「ふーん?」
ラビは面白そうに目を細めたけれど、それ以上は聞いてこなかった。
私は温かなカップへ指を添えながら、目の前の三人を見る。
明るくて、温かなリナリー。
騒がしくて、軽薄に見えるのに、時折ひどく遠い目をするラビ。
鋭く、誰も寄せ付けないまま、魂の奥に説明のつかない軋みを抱えた神田。
これから、この人たちと同じ場所で戦っていく。
そう思うと、胸の奥に小さな緊張が生まれた。
けれど同時に、ほんの僅かな期待もあった。
この場所で。
私は、何を見つけるのだろう。
何を守り。
何を失い。
そして、いつか追いついてくるアレンを、どんな自分で迎えるのだろう。
まだ、その答えは分からない。
ただ、食堂の賑やかな声と、温かなパンの匂いの中で。
私の新しい日々は、確かに始まりを告げていた。