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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第36章 【第三十一話】命を繋ぐ海



救えたのだろうか。

それとも。

何かを、見落としているのだろうか。

喉の奥で、ニルヴァーナが静かに震えている。


祈りのような、優しい鼓動。

けれどその優しさが、なぜか胸の奥へ小さな棘のように残った。


雨の向こうで、アニタが最後に小さく唇を動かした。


『ありがとう』

次の瞬間。

その身体も、静かに崩れた。

雨の中へ。

白い灰が舞っていく。


「……っ」

誰も動けなかった。


ラビが俯く。

クロウリーが目を閉じる。

ミランダは嗚咽を漏らし、リナリーはその場へ崩れ落ちた。

ティファは、強く拳を握り締める。

喉の奥には、まだニルヴァーナの響きが残っていた。


それは祈りのようで。

同時に、ひどく残酷な余韻のようでもあった。


船は、雨の中でゆっくりと崩れていく。

その中に残された声だけが、いつまでも耳から離れなかった。


――勝ってください。

――生きてください。

――未来へ、繋げてください。


ティファは唇を噛み締める。

涙は出なかった。

出せなかった。

ただ、胸の奥で燃えるような痛みだけが、静かに膨らんでいった。
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