第4章 【第三話】檻と家のはじまり
翌朝。
控えめでありながら快活なノックの音に、私は目を覚ました。
窓の外は薄曇りで、冷たい朝の光が石造りの部屋へ差し込んでいる。
「 ティファ、おはよう! 起きてる?」
扉の向こうから、リナリーの声が聞こえる。
私は慌てて身支度を整え、扉を開けた。
そこには、既に団服姿へ着替えたリナリーが、明るい笑顔で立っていた。
「おはよう。よく眠れた?」
「ええ。ありがとう」
本当は、眠りにつくまで少し時間がかかった。
けれど、昨日ほど胸のざわめきは大きくない。
「今日は朝食のあと、正式な団服の採寸があるの。それから、落ち着いたら今度、一緒に訓練もしましょう」
「訓練?」
「うん。クロス元帥のもとで、どんな戦い方を学んだのか興味があるの。 ティファのイノセンスは武器も顕現するのでしょう?」
「ええ。歌と一緒に、二振りのレイピアを顕現させるの」
「素敵……実際の任務で一緒になる前に、いつか動きだけでも見せてほしいわ」
親愛とは別の、エクソシストとしての真っ直ぐな光が、リナリーの瞳に宿っている。
私は微笑み返した。
「ええ。私も、あなたの戦い方を知りたいわ」
「決まりね」
二人で歩き出し、まずは朝食を取るため食堂へ向かった。
焼きたてのパンの香りが漂う食堂は、既に多くの団員たちで賑わっている。
リナリーと向かい合って席につき、温かな飲み物へ口をつけた、その時だった。