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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第35章 【第三十話】紅い雪の降る海



ミランダが、びくりと肩を震わせる。

そして。


「……あなたも、仲間でしょ……?」

ラビの背中が、一瞬だけ止まった。


「違うの……?」

静かな声。


けれど、その言葉の方が、何より深く刺さった。


――お前は、ブックマンだ

――味方ではない

――たまたま教団側にいるだけだ


ブックマンの言葉が、頭の奥で蘇る。

ラビの指先が、僅かに震えた。


数秒。

沈黙。

やがて。

ラビはゆっくり振り返った。

片方だけ覗く翠の瞳が、ティファ達を見る。


その瞬間。

何かを振り払うように、ラビは鉄槌を構えた。


「伸――」
「待って!!」

ティファは、掴んでいた袖にさらに力を込めた。

ラビが目を見開く。


ティファは息を呑んだ。

言いたいことなんて、山ほどあった。

行かないでほしい。
また誰かが消えるのは嫌だ。

傷だって、まだ戻っていない。


でも。

ラビの目を見た瞬間、分かってしまった。

止まらない。

この人は、もう決めている。

ティファはゆっくり唇を噛んだ。


「……必ず戻ってきて」

掠れた声だった。

ラビが少しだけ目を細める。


「ああ。リナリー連れて、戻ってくる」


けれど、次の瞬間。

ラビの指が、そっとティファの手を外した。


「待ってて」

低い声。

ティファの心臓が跳ねた。

次の瞬間。


「伸!!」

巨大化した鉄槌が、夜空へ伸びる。

ラビはそのまま鉄槌へ飛び乗り、夜の海へ飛び出した。



一方、その頃。

ラビは鉄槌の上で、夜の海を渡っていた。

潮風が頬を叩く。

途端に、身体の奥が軋んだ。

タイムレコードの範囲外へ出たせいだ。

戻ってきた傷が、じわじわと熱を持ち始める。

脇腹が痛む。
肺が焼ける。

けれど、止まれない。


「リナリー……!」

遠く。

先程、光が上がった海域へ向かって、ラビは鉄槌を伸ばし続ける。

その時だった。


ざばぁっ!!

海面を割るように、巨大な影が現れた。


「っ!?」

ラビが鉄槌を止める。

AKUMA。
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