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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第4章 【第三話】檻と家のはじまり


最後に案内されたのは、私のために用意された一室だった。

清潔なベッドと、小さな机。

簡素な衣装棚。

窓際には、外の灰色の空を見渡せる小さな椅子が置かれている。

決して広い部屋ではない。

けれど、旅の途中で立ち寄るだけの宿とは違う。

ここには、私のための場所がある。

そのことが、妙に現実味を持って胸へ迫った。

「必要なものがあったら、何でも言ってね」

リナリーが扉の前で微笑む。

「明日の朝、迎えに来るわ。正式な団服を作るための採寸があるの」

「ありがとう、リナリー。本当に、何から何まで」

「気にしないで。私がしたいの」

彼女は少し照れたように笑う。

「女の子の仲間が増えるの、すごく嬉しいから。……ティファって、なんだかお姉さんみたいで、安心するし」

思いがけない言葉に、私は小さく目を見開いた。

「私が?」

「うん。落ち着いていて、優しそうで……でも、ちゃんと強そう」

リナリーは、ふふ、と笑った。

「これから仲良くしてね」

胸の奥が、じんわりと温かくなる。

「……ええ。こちらこそ」

「じゃあ、おやすみなさい。ゆっくり休んでね」

「おやすみなさい、リナリー」

扉が静かに閉じる。

部屋へ、深い静寂が戻った。

私は暫く、その場に立ち尽くしていた。

本当に、一人になったのだ。

師匠の煙草の匂いもない。

アレンの穏やかな声もない。

聞こえるのは、窓の外で冷たい風が鳴る音だけ。

私はゆっくり鞄を開けた。

中から、母の銀の髪紐を取り出す。

その隣にしまっていた、アレンから渡された小さな銀色のボタンも。

掌に載せれば、ひどく頼りないほど小さい。
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