• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第4章 【第三話】檻と家のはじまり


食堂を出たあと、最初に案内されたのは医務室だった。

扉の向こうから漂う消毒液の匂いに、自然と背筋が伸びる。

幾つかの寝台には、任務で傷を負ったファインダーたちが横になっていた。

包帯の巻かれた腕。

苦しげに眠る顔。

戦いの場では、エクソシストだけが傷つくわけではない。

その当たり前の現実を、目の前へ差し出されたような気がした。

私は何も言えず、ただ静かに頭を下げる。

この人たちが一日でも早く痛みから解放されることを、心の中で願った。

それから、長い回廊をいくつか抜け、鍛錬場へ向かう。

扉を開けた瞬間、乾いた金属音が冷たい空気を鋭く裂いた。

私は、思わず足を止めた。

広い鍛錬場の端。

一人の青年が、無駄のない動きで刀を振るっている。

長い黒髪。

背筋の伸びた姿勢。

振るわれる刃は、迷いなく、ひどく鋭い。

周囲の音をすべて断ち切るみたいに、何度も空気を裂いていく。

「神田、今日もやってるわね」

リナリーが小さく呟く。

「……神田?」

「神田ユウ。私たちと同じエクソシストよ。少し話しかけづらい人だけど、腕は確かだから」

「少しどころじゃねぇけどな」

ラビが横から笑う。

けれど、私は二人の声へすぐに返事ができなかった。

青年が刀を振るうたび、乾いた金属音の奥へ、別の響きが混じる気がしたからだ。
/ 537ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp