第33章 【第二十八話後R18】灯籠の下、すべてを暴いて
淡い灯籠の明かりが、座敷の畳をやわらかく照らしている。
敷かれた布団の上で、ティファはラビと向かい合って座っていた。
近い。
膝が触れそうな距離。
けれど、まだ触れてはいない。
それだけの距離が、かえって息苦しいほど胸を高鳴らせた。
ラビは黙ったまま、ティファの髪へ指を伸ばした。
長い銀髪を一房だけ掬い、指先でそっと梳いた。
その仕草があまりにも優しくて、ティファは思わず視線を伏せる。
「……緊張してる?」
低く、柔らかな声。
ティファは小さく首を横へ振ろうとして、けれど上手く出来なかった。
「……少しだけ」
正直に答えると、ラビの翠の瞳が微かに細められる。
からかうような笑みではない。
壊れ物へ触れる前みたいな、慎重な眼差しだった。
「そっか」
ラビはそれ以上、急かさなかった。
ただ、ティファの頬へ指先を添えた。
熱い。
その手の温度だけで、胸の奥が甘く震えた。
「……無理なら、ちゃんと言え」
「今ならまだ止められっから」
その声は熱を帯びているのに、どこまでも優しかった。
胸が少し締め付けられる。
ラビの指先は優しいのに、どこか張り詰めていた。
触れたい気持ちよりも、傷付けたくない気持ちの方が強いみたいに。
その慎重さが、胸の奥を少しだけ苦しくさせた。
ティファはそっと首を横へ振った。
「……平気よ」
小さな声。
それでも、頬は熱かった。
ラビは少しだけ安堵したみたいに息を吐く。
それから、慈しむように、静かに口付けを落とした。
一度目は、触れるだけ。
二度目は、確かめるように。
三度目は、離れがたそうに。
静かな口付けを繰り返すうちに、ティファの身体から少しずつ力が抜けていく。
ラビの手が背中へ回り、倒れ込まないように支えた。
そのまま、二人はゆっくり布団へ沈んでいく。
視界のほとんどが、覆い被さる彼の広い肩と、至近距離で見下ろしてくる翠の瞳で占められていた。
ラビの唇が、耳元へ触れた。
「……好きだ」
低く、掠れた声だった。