第4章 【第三話】檻と家のはじまり
「ばれた?」
二人のやり取りに、張り詰めていた空気が少しだけ和らぐ。
私は科学班の人たちへ向き直り、軽く頭を下げた。
「それでは、失礼します。リーバー班長、ジョニー、タップも……あまり無理をしないでくださいね」
リーバー班長とジョニーが、一瞬だけ意外そうに目を瞬かせる。
その隣で、タップは抱えていた紙を落としかけ、慌てて両腕で押さえ直した。
「えっ、俺まで!?うわ、ありがとうティファ!…いや、無理しないようにしたいんだけど、室長がいる限り難しいっていうか……」
「タップ!?」
コムイさんが大袈裟に悲鳴を上げる。
ジョニーが嬉しそうに笑った。
「ありがとう、ティファ。君も今日はゆっくり休んでね」
「気遣ってくれるなら、まず室長の暴走を止めてくれ……」
リーバー班長の疲れ切った声に、コムイさんが大袈裟に傷ついた顔をする。
「僕はみんなのために頑張っているのに!」
「仕事を増やす方向にだけな」
思わず、小さく笑みが零れた。
その時、ラビと目が合う。
彼は、少し離れた場所から私を見ていた。
先ほどのような探る視線ではない。
私が笑ったことを、少し意外に思ったような。
そして、ほんの僅かに面白がっているような表情。
「……やっと笑った」
「え?」
「いや、こっちの話」
ラビはそう言うと、すぐに軽い足取りで食堂へ向かって歩き出した。
私は僅かに首を傾げながら、その背中を追った。