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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第29章 【幕間】月影の楽園 後日談 ―帰る場所


部屋を出る頃には、二人とも多少は落ち着いていた。

……少なくとも、私はそう思っていた。

「ティファ」

隣を歩くラビが、妙に機嫌良さそうな声を出す。

「何?」

「さっきの言葉、覚えとけよ」

私は思わず立ち止まりかけた。

「な、何急に……!」

「いやぁ、朝から真っ赤になってるティファ見れてオレ大満足――」

その瞬間だった。

ドゴォッ!!!

凄まじい衝撃音。

ラビの身体が、横から綺麗に吹き飛んだ。

「ぶはぁっ!?」

勢いよく廊下を滑っていく赤毛。

私は目を見開く。

「ラ、ラビ!?」

舞い上がった埃の向こう。

そこには、飛び蹴りの姿勢のまま着地したブックマンが立っていた。

目が、やけに据わっている。

ラビが床へ転がったまま、頭を押さえて叫ぶ。

「クソじじぃ! いきなり何すんさ!!」

「朝から腑抜けた面しおって」

低い声。

ブックマンは鼻を鳴らしながら、ずんずん歩み寄る。

「昨夜はどこをほっつき歩いておった、馬鹿弟子」

その瞬間。

ラビの顔から、すっと色んなものが消えた。

「……しまった」

完全に墓穴を掘った声だった。

私は思わず視線を逸らす。

ブックマンは無言のまま、ラビの耳をぐいっと引っ張り上げた。

「いだだだだだ!! 耳!! 耳取れる!!」

「黙れ阿呆」

容赦がない。

そのままブックマンは、耳を引っ張ったまま私へ視線を向ける。

「ティファ嬢よ」

「は、はい」

「この馬鹿弟子が世話を掛けたの」

隣でラビが必死に抗議する。

「ちょ、待って!? 何でオレが問題児扱い!?」

「問題児以外の何者でもなかろうが」

即答だった。

しかも耳を引っ張る力が強くなる。

「いっっっだぁ!!」

私は思わず吹き出しそうになる。

ラビが涙目でこちらを見る。

「ティファ、笑ってない?」

「……ちょっとだけ」

「酷っ」
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