第4章 【第三話】檻と家のはじまり
慌てて立ち上がった拍子に、抱えていた紙の束が床へばさりと落ちる。
「うわっ、ちょ、待って!今のなし!初対面で格好つかねぇ!」
タップは慌てて書類を拾い集めながら、こちらへ引き攣った笑顔を向けた。
「タップ・ドップ!科学班所属!えーっと……よろしく ティファ!」
その慌ただしさに、思わず口元が緩む。
私は床へ散らばった紙を一枚拾い、彼へ差し出した。
「よろしく、タップ。大丈夫?」
「だ、大丈夫!全然大丈夫!むしろ拾わせちゃってごめん!」
紙を受け取ったタップは、耳まで少し赤くしながら頭を下げる。
するとジョニーが、面白そうに彼の肩を叩いた。
「タップ、緊張しすぎだよ」
「だって、新しいエクソシストだぞ!?しかもすげぇ綺麗な人だし!」
「タップ」
リナリーが嗜める。
「えっ、いや、変な意味じゃなくて!本当にそのままの意味で!」
必死に弁解するタップの姿に、科学班のあちこちから笑い声が上がった。
騒がしくて。
忙しなくて。
けれど、どこか温かい。
これまでの旅暮らしにはなかった空気だった。
戦う人間だけではなく、その背中を支え、帰りを待ち、傷つけば手当てをしてくれる人々がここにはいる。
その事実が、胸の奥へ静かに残った。
「さて」
コムイさんが、ぱん、と手を打つ。
「本当ならもっとゆっくり歓迎したいところだけれど、まずはヘブラスカのところへ行こうか。正式な確認が終わったら、食事も部屋の案内もできるからね」
「はい」