第4章 【第三話】檻と家のはじまり
その時、少し離れた机の向こうから、疲労の滲んだ声が飛んでくる。
「室長。歓迎は結構ですが、こっちの決裁書類もそろそろ見てください……」
振り向くと、鋭い目つきの青年が書類の束を抱え、心底うんざりしたような顔で立っていた。
「あ、 ティファ。こちらはリーバー班長よ。科学班をまとめている、とても頼りになる人なの」
リナリーが紹介してくれる。
リーバー班長は疲れた表情のまま、それでも丁寧に頭を下げた。
「リーバー・ウェンハムだ。装備や任務で困ったことがあれば、遠慮なく言ってくれ」
「よろしくお願いします、リーバー班長」
「室長よりは話が通じるから、安心していいぞ」
「リーバー君!?」
コムイさんが大袈裟に胸を押さえる。
すると、奥の机で作業をしていた眼鏡の青年が、思わず吹き出した。
「班長、また室長に厳しいなぁ」
「ジョニーまで笑うの!?」
「だって、否定できないじゃないっすか」
「 ティファ、あちらがジョニーよ」
リナリーが、楽しそうに彼へ手を向ける。
ジョニーは慌てて手にしていた工具を机へ置くと、人懐こい笑顔でこちらへ駆け寄ってきた。
「ジョニー・ギルだよ。よろしく、 ティファ!装備とか団服とか、これから僕たちが担当することもあると思うから、何かあったら気軽に言ってね」
「ありがとう。こちらこそ、よろしくね、ジョニー」
私が会釈を返すと、ジョニーは少し照れたように笑った。
「それから、あっちにいるのがタップよ」
リナリーの視線の先で、機械の脇にしゃがみ込んでいた少年が、ばっと顔を上げた。
「えっ、俺も紹介してもらえるの!?」