第28章 【幕間】神田/月影の楽園 後編
神田は何も返さなかった。
ただ。
ほんの僅かにだけ、張り詰めていた肩の力が抜けたように見えた。
東の空が、少しずつ明るくなっていく。
長い夜が終わる。
けれど、この夜に見てしまったものは、きっと消えない。
私の中にも。
神田の中にも。
それでも。
私は、小さく息を吐いた。
「戻りましょう」
神田は数秒黙ったあと、小さく舌打ちした。
「……あぁ」
ぶっきらぼうな返事。
東の空が、少しずつ白み始めている。
長い夜の終わりを告げるように。
私達は、何も言わないまま歩き出した。
けれど神田はもう、私を追い払わなかった。