• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第4章 【第三話】檻と家のはじまり


「ははっ、本人が言うなら間違いねぇさ。クロス元帥の弟子ってだけで、 ティファが逞しい理由は大体分かるな」

「聞こえているわよ、ラビ」

「褒めてんだよ」

本当に褒めているのかは分からなかったけれど、その軽いやり取りのおかげで、知らず張り詰めていた肩の力が僅かに抜けた。

コムイさんは軽く咳払いをすると、改めて私へ向き直る。

先ほどまでの明るさを残しながらも、その眼差しには、室長としての静かな慎重さが戻っていた。

「君のイノセンスについては、このあと正式な確認をさせてもらうことになる。喉に宿る寄生型で、歌を媒介に発動する……ということだったね」

無意識に、指先が喉元へ触れた。

「はい。『ニルヴァーナ』と呼んでいます」

「ニルヴァーナ……」

コムイさんは、その名を確かめるように小さく繰り返した。

けれど、そこで詳しく問い詰めてはこなかった。

「詳細は、まずヘブラスカの確認を受けてからにしよう。到着したばかりの君へ、いきなり質問責めをするのも酷だからね」

その声音が、少しだけ柔らかくなる。

「ようこそ、黒の教団へ。 ティファちゃん。ここは戦うための場所だけれど、同時に、君が帰ってきていい場所でもある」

胸の奥が、僅かに詰まった。

帰ってきていい場所。

師匠と旅をしていた頃は、明日にはどの街にいるのかさえ分からなかった。

アレンと過ごした日々も、いつも移動と修練と任務の合間にあった。

けれど、ここには部屋があり、仲間がいて、任務から戻る者を迎える人々がいる。

本当に、自分もその中に入れるのだろうか。

「……ありがとうございます」

どうにか、そう答えた。
/ 537ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp