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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第28章 【幕間】神田/月影の楽園 後編


「……分からない」

掠れた声で答える。

「白い部屋と……黒い髪の子が……」

その瞬間。

神田の表情が、はっきりと変わった。

驚き。

怒り。

そして、見られてしまったことへの拒絶。

すべてが一瞬だけ浮かび、すぐに冷たい表情の奥へ押し込まれる。

「……忘れろ」

低い声。

「今見たこと、全部」

私は小さく息を呑んだ。

「見るつもりじゃなかったの。ごめんなさい」

「謝れば消えんのか」

吐き捨てる声は鋭かった。

私は唇を結ぶ。

怒っている。

当然だ。

あれは、私が勝手に触れていいものではなかった。

誰にも知られないように、彼がずっと押し込めてきた何か。

私はそれ以上、何も聞かなかった。

「……ティファさん!」

遠くから、ナジームの声が響いた。

振り返ると、彼が息を切らしながらこちらへ駆けて来ていた。

私達の間に漂う異様な空気へ気付いたのだろう。一瞬だけ表情を曇らせたが、何も聞かずに声を落とす。

「情報が入りました」

神田が苛立ったように視線を向ける。

「今じゃねぇと駄目か」

「……失踪者が見つかりました」

その言葉に、空気が変わる。

「生きているの?」

私が問うと、ナジームは数秒黙ったあと、静かに首を横へ振った。

「東側の路地で、灰になっていたそうです」

喉の奥で『ニルヴァーナ』が微かに震えた。

「ですが、死ぬ直前まで、誰かと話していたらしい」

私は無意識に神田を見る。

神田は目を伏せたまま、低く舌打ちした。
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