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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第26章 【第二十五話】終幕なき夜・後編


ティファが、ラビを見る時の顔。

名前を呼ばれた時の、柔らかい声。

触れられただけで赤くなる頬。

鍛錬場で見た時から、妙に気に障っていた。

ただ目障りなだけだと思っていた。

浮ついているのが気に食わないだけだと。

けれど、今日。

舞台の上で傷を増やし、それでも平気な顔をして立つティファを見た瞬間。

胸の奥に沈めていた苛立ちは、もう無視できないところまで来ていた。

神田は眠るティファを見た。

無防備な横顔。

呼吸に合わせて、銀髪が小さく揺れる。

「……面倒くせぇ」

低く吐き捨てる。

よりにもよって。

もう、あの赤毛を選んだ女だ。

どうしたいのかなんざ、知らない。

奪いたいのか、遠ざけたいのか、ただ目障りなだけなのか。

考えるだけで苛立った。

ただ一つ。

こいつが傷付くのが、気に食わない。

あの男の手が伸びた瞬間、頭に血が上った。

ラビの隣で笑っている顔を思い出すだけで、胸の奥がざらつく。

名前を付ける気なんざない。

だが、何も感じていないふりをするには、もう遅かった。

「……最悪だ」

神田は目を閉じる。

けれど、眠気など訪れなかった。

汽車は暗い夜を切り裂き、教団へ向かって走り続ける。

その窓辺で。

神田は初めて、自分の中へ生まれてしまった感情から、目を逸らせなくなっていた。
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