第23章 【第二十二話】もう戻れない夜
次の瞬間。
ラビの額が、こつりと私の額へ触れた。
熱い。
近い。
彼の呼吸が、わずかに乱れている。
「……オレも好きさ」
呼吸が止まった。
低く掠れた声が、胸の奥へ深く落ちてくる。
「ずっと……どうしようもねぇくらい、お前が欲しかった」
胸の奥が、大きく震えた。
ラビの指先が、そっと私の頬を包む。
その手も、僅かに震えていた。
「ティファ」
名前を呼ぶ声が、ひどく優しい。
私は言葉の代わりに、彼のTシャツを掴む指へそっと力を込めた。
その瞬間、ラビの翠の瞳が熱を孕んで細められる。
まるで、最後の理性を確かめるみたいに。
「……キス、していい?」
掠れた声だった。
昨日、触れそうで触れなかった唇。
ずっと熱だけを残していった距離。
私は逃げなかった。
小さく頷く。
次の瞬間。
そっと、唇が重なった。
静かな口付けだった。
優しくて。
熱くて。
触れた瞬間、胸の奥まで甘く痺れていく。
私は小さく息を呑む。
ラビの指先が、頬を包み込んだ。
逃がさないように。
愛しいものへ触れるみたいに。
ほんの僅かに触れただけなのに、身体の奥まで熱が広がっていく。
やがて唇が離れる。
けれど、数センチも離れない。
吐息が混ざる距離。
ラビは熱を孕んだ翠の瞳で、真っ直ぐ私を見つめていた。
そして。
「……もう一回」
掠れた声。