第22章 【第二十一話】雪明かりの答え
優しい言葉なのに、その奥にある痛みが、はっきり伝わってくる。
アレンは一度だけ目を伏せた。
それから、ゆっくり顔を上げる。
銀灰色の瞳が、真っ直ぐ私を見る。
「でも」
静かな声。
「ティファが、自分で選んだなら」
その言葉の続きを飲み込むみたいに、一度だけ唇を結ぶ。
そして。
「ちゃんと、笑っていてください」
微笑んだ。
優しくて。
泣きたくなるくらい綺麗な笑顔だった。
私は耐え切れず、目を伏せる。
胸が苦しい。
それでも、逃げずに向き合わなきゃいけない。
私は小さく息を吸った。
震える指先で、胸元をぎゅっと押さえる。
鼓動がうるさい。
けれど。
今度こそ、ちゃんと言わなきゃいけない。
「……アレン」
彼が静かに顔を上げる。
私はその銀灰色の瞳を真っ直ぐ見つめた。
逃げずに。
誤魔化さずに。
「私……」
喉が震える。
それでも、言葉は不思議なくらいはっきり落ちた。
「ラビが、好き」
静寂。
雪の降る音だけが、遠く響いていた。
アレンの瞳が、ほんの少しだけ揺れる。
胸が痛かった。
傷付けてしまったと分かるから。
それでも、もう嘘は吐けなかった。
私は唇を噛み締める。
「アレンのことも、大切よ」
掠れた声。
「失いたくないって、本当に思ってる」
アレンは何も言わず、静かに聞いていた。
私は小さく息を吐く。
「でも……気付いてしまったの」
胸元へそっと手を当てる。
「私が、一番そばにいたいって思うのが、誰なのか」