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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第3章 【第二話】次へ繋ぐ手


「え?」

「自分が怖い時でも……誰かのことばかり考える」

責めるような声ではなかった。

だからこそ、胸が痛んだ。

「僕は……それが、嫌です」

「……アレン」

「ティファが強いことは知っています。僕よりずっと先に戦って、ずっとたくさんの痛みを見てきたことも」

アレンは、俯いていた顔を上げた。

銀灰色の瞳が、真っ直ぐ私を捉える。

「でも……だからって、一人で平気なわけじゃないでしょう」

その言葉に、息が止まった。

何かを返そうとして、声が出なかった。

平気ではない。

本当は、不安だった。

教団へ向かうことも。

師匠の傍を離れることも。

そして、アレンと別れることも。

けれど、それを口にすれば、もう足が動かなくなるような気がしていた。

「……そうね」

ようやく、それだけ答える。

「平気では、ないわ」

アレンの表情が、僅かに歪んだ。

私は小さく息を吐き、無理に笑うのをやめた。

「怖い。でも……行きたいの。自分で確かめたい」

暫く、誰も何も言わなかった。

窓から差し込む白い朝の光が、床へ淡く落ちている。

やがてアレンは、ゆっくり拳をほどいた。

「……分かりました」

その声は、まだ苦しそうだった。

けれど、私を引き止めるためのものではなかった。

「僕は、師匠と残ります」

「うん」

「ちゃんと強くなります」

アレンが、一歩だけ私へ近付く。

「次に会った時……ティファが一人で抱え込まなくて済むくらいに」

胸の奥が、熱くなった。

返す言葉が見つからず、私はただ小さく頷く。

その時、扉が勢いよく開いた。

「随分と長ぇ別れの挨拶だな」

師匠だった。

いつもの外套を羽織り、片手には封蝋の施された封筒を持っている。

「師匠……ノックくらいしてください」

「自分の弟子の部屋に入るのに、いちいち断りが要るか」

「要ります」
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