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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第3章 【第二話】次へ繋ぐ手


「……それでも、行かないと」

「どうしてですか」

「私が何者なのか、知らないままではいられないから」

喉の奥に宿る熱。

母の魂を送った歌。

母を奪ったAKUMAを消した光。

これまで幾度も誰かの苦しみに触れ、終わらせてきた力。

それを怖いからと目を逸らしたまま、生きてはいけないと思った。

「それに、師匠について歩くだけじゃなくて……私も、自分で決めて進まないといけない」

アレンは何も言わなかった。

ただ、苦しそうに唇を噛んでいる。

私は少しだけ迷い、それから彼の傍へ歩み寄った。

「アレンは、師匠と一緒にいて」

「……僕も、行けます」

「駄目」

思ったよりはっきりと声が出た。

アレンが目を見開く。

「まだ、あなたには師匠から学ばなければいけないことがある」

「でも、ティファが一人で――」

「一人で行くから意味があるの」

静かに遮る。

本当は、怖かった。

見知らぬ場所へ、一人で向かうことも。

ニルヴァーナの力を知られることも。

セトラという血を、教団がどう受け取るのかも。

アレンが傍にいてくれたら、どれほど心強いだろう。

けれど、それを望んではいけない気がした。

彼には、彼自身の道がある。

私を追うためではなく、彼自身が前へ進むための時間が必要だった。

「あなたは、私を守るためだけに強くなるんじゃないでしょう?」

アレンの瞳が揺れる。

「……それは……」

「あなたが救いたいと思う人は、これからきっとたくさん現れる。だから、私一人のために立ち止まらないで」

その言葉は、思っていた以上に自分の胸へ痛く刺さった。

アレンを置いていくようで、苦しい。

けれど、歩くということは、時に大切な人と別々の道を選ぶことなのだと、私はもう知っていた。

アレンは長い間、黙っていた。

やがて、絞り出すような声で呟く。

「……ティファは、いつもそうです」
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