第22章 【第二十一話】雪明かりの答え
「……ティファ?」
アレンの声で我に返る。
私ははっと息を呑んだ。
アレンは少し不安そうにこちらを見ている。
その視線が苦しい。
私は慌てて笑おうとした。
「ご、ごめんなさい。ちょっとぼーっとしてて……」
アレンは数秒黙ったまま私を見る。
やがて。
「……ティファが、ラビといる時」
ぽつり、と。
雪へ溶けるみたいな声が落ちた。
私は息を止める。
アレンは視線を逸らさない。
「時々、すごく遠く感じるんです」
胸が強く痛んだ。
責めているわけじゃない。
ただ、不安なのだ。
失うのが怖くて。
それでも無理に引き留められなくて。
そんな感情が、その静かな声へ滲んでいた。
私は何も言えなくなる。
アレンは小さく笑った。
困らせたくないとでも言うみたいに。
「……すみません。変なこと言いました」
「アレン……」
「でも」
彼は少しだけ目を伏せる。
「僕、ティファに笑っててほしいんです」
掠れた声。
「ティファが幸せなら、それでいい」
その言葉は、あまりにも優しくて。
胸の奥が、ぎゅうっと締め付けられる。
私は気付いてしまう。
アレンといると安心する。
温かい。
守られているって思う。
失いたくない。
けれど。
ラビといる時みたいに、呼吸が乱れることはない。
触れられるだけで熱くなったりしない。
離れた瞬間、追い掛けたくなるような衝動もない。
代わりに胸へ広がるのは、ひどく静かな愛情だった。
大切で、守りたくて、傷付いてほしくない。
けれどそれは、恋とは少し違っていた。