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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第3章 【第二話】次へ繋ぐ手


今日も何事もなく一日が始まっていく音。

けれど、私たちにとっては、今までと同じ朝ではなかった。

私は今日、黒の教団本部へ向かう。

そしてアレンは、ここに残る。

師匠のもとで、まだ続く修練と旅の中へ。

「……師匠から聞いたの?」

私が尋ねると、アレンは小さく頷いた。

「昨日の夜に。ティファは、先に本部へ行くことになったって」

「そう」

「……どうして、ティファだけなんですか」

声が、少しだけ硬かった。

私は思わずアレンを見る。

彼は俯いていた。

白い前髪が目元へ落ち、表情ははっきりとは見えない。

けれど、握り締められた指先だけで、その問いが単なる疑問ではないことは分かった。

「私のイノセンスが、少し特殊だからだと思う」

できるだけ静かに答える。

「ニルヴァーナのこと。セトラのこと。教団で正式に調べてもらう必要があるって、師匠が」

「……調べる」

アレンが、その言葉を繰り返した。

どこか警戒するような響きだった。

「そんな怖い顔しなくて大丈夫よ」

私は小さく笑おうとする。

「私だってエクソシストになるために行くんだもの。閉じ込められに行くわけじゃないわ」

けれど、アレンは笑わなかった。

「本当に、そうですか」

「アレン?」

「ティファの力を知った人たちが、ティファをどう見るのか……僕には分かりません」

真っ直ぐな声だった。

「亡くなった人の魂を送って、伯爵の手に渡る前に救うことができる力なんて……きっと、誰も放っておきません」

胸の奥が、小さく揺れた。

師匠の声が、遠い記憶の奥から蘇る。

――お前のその力は……いつか、お前自身まで食い潰すぞ。

あの時は分からなかった言葉。

けれど、今のアレンの瞳を見ていると、その意味の輪郭へ少しだけ触れた気がした。

私は無意識に、喉元へ手を添えた。
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