第21章 【第二十話】残り香は、まだ熱い
リナリーはそんな私を見て、少しだけ笑みを深めた。
「体調大丈夫そうなら、私、先に食堂行ってるね」
「あ……うん」
「ちゃんと食べに来てね?」
お母さんみたいなことを言いながら、リナリーは扉へ向かう。
そして最後に、一度だけ振り返った。
「あと、そのマフラー」
「っ……」
「返してあげなきゃ駄目だよ?」
にこっと笑って、今度こそ部屋を出て行く。
扉が閉まった。
静寂。
私は、しばらく動けなかった。
やがて、そっと腕の中のマフラーを見る。
指先で触れるだけで、昨夜の熱が蘇る気がした。
「……ほんとに、何したのよ、私……」
掠れた呟きが、静かな部屋へ小さく落ちた。