第21章 【第二十話】残り香は、まだ熱い
リナリーも、つられるように笑う。
けれど次の瞬間。
彼女は、また私の顔をじっと見つめた。
「……?」
「ねぇ、ティファ」
「なに?」
リナリーは少し迷うように視線を揺らしたあと、小さく首を傾げる。
「ラビとアレン君と、何かあった?」
胸が、ひゅっと縮んだ。
私は思わず固まる。
「えっ」
「なんていうか……」
リナリーは困ったように笑った。
「二人とも、ティファを見る時の雰囲気がちょっと違ったから」
顔が熱くなる。
私は慌てて視線を逸らした。
「な、何もないわ……!」
リナリーが、ぱちりと瞬きをする。
それから、じわじわと頬を緩めた。
「……ティファ、分かりやすい」
「っ……!」
言葉に詰まる。
否定したいのに、診療所でのことを思い出してしまった。
触れそうだった唇。
額越しの熱。
――今キスしたら、たぶんオレ、もう止まれねぇ。
「〜〜っ……」
私は堪え切れず、顔を覆った。
リナリーが優しく笑う。
「ティファ」
「……なに?」
「ちゃんと悩んでるんだね」
その声があまりにも柔らかくて、胸の奥がじんわり熱くなった。
私は小さく息を吐く。
「……リナリー」
「うん」
「落ち着いたら、少し時間もらえる?」
リナリーが瞬きをする。
私は視線を落としたまま、ぽつりと続けた。
「話したいことがあって……」
一瞬驚いた顔をしたあと、リナリーはすぐに柔らかく微笑んだ。
「もちろん」