第21章 【第二十話】残り香は、まだ熱い
教団へ戻った頃には、空は深い群青へ沈みかけていた。
長い任務と移動の疲労が、一気に身体へ押し寄せてくる。
それでも、本部の巨大な門が見えた瞬間、どこか張り詰めていた気持ちが少しだけ緩んだ。
「お、おおお……大きすぎるのである……!」
汽車を降りたクロウリーが、門を見上げたまま本気で震えている。
「中入ったらもっと驚くさ」
ラビが肩を揺らして笑った。
アレンも小さく笑みを浮かべる。
けれど、その直後。
ゴゴゴゴ……と重たい音が響き、巨大な門の中央がゆっくり蠢いた。
次の瞬間。
門そのものへ浮かび上がるように、巨大な男の顔が現れる。
「――止マレ、エクソシスト」
低く響く声。
クロウリーが飛び上がった。
「ぬおおおおお!? 門が喋ったのであるぅぅ!!」
「アレスティーナだよ」
ラビが慣れた様子で片手を振る。
アレスティーナは、じろりとこちらを見回した。
巨大な瞳が、一人ずつ身体を舐めるように確認していく。
「確認完了……ラビ、アレン、ティファ……」
そこで。
ぴたり、と視線が止まった。
クロウリーだ。
嫌な沈黙。
そして。
「……AKUMAノ血液反応ヲ検知」
「ぬ?」
クロウリーが固まる。