第21章 【第二十話】残り香は、まだ熱い
ラビだけが、悪戯っぽく笑っている。
「静かに」
囁く声が近い。
「バレるぜ?」
「だったら離して……!」
「嫌」
即答だった。
しかも、指を解くどころか、さらに深く絡めてくる。
熱が、指先からじわじわ伝わってくる。
――次は、答え聞くから。
診療所で落とされた声が、不意に蘇った。
ラビは、本気だ。
曖昧なまま、逃がしてくれる気なんてない。
その時、クロウリーへ声を掛けているアレンの横顔が目に入った。
――僕はティファを、一人の女性として大切に思っています。
胸の奥が、鈍く痛む。
それでも。
私は、ラビの指を振りほどくことが出来なかった。