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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第20章 【第十九話】もう譲れない


私は小さく息を呑む。

するとアレンは、少しだけ苦しそうに眉を寄せた。

「ティファ」

名前を呼ぶ声が低い。

「僕は……」

その時だった。

「おっと、お取込み中だった?」

乾いた声が、廊下へ落ちる。

私はびくりと肩を揺らした。

振り返る。

そこには壁へ寄り掛かったラビがいた。

いつから居たのか分からない。

翠の瞳だけが、じっとこちらを見ている。

アレンの表情が一瞬で硬くなる。

「……ラビ」

「続けていいぜ?」

軽い口調。

なのに空気が冷える。

ラビはゆっくり歩み寄ってきた。

そして当然みたいに私の隣へ立つ。

近い。

さっき病室で抱き寄せられた熱が、一気に蘇る。

私は思わず息を止めた。

ラビはそれに気付いたのだろう。

翠の瞳が僅かに細められる。

「……何、その反応」

低く掠れた声。

「オレのこと意識し過ぎじゃね?」

「っ……!」

顔が熱くなる。

アレンが眉を寄せた。

「ラビ、ティファを困らせないでください」

「困ってる?」

ラビがわざとらしく聞き返す。

その視線は私から逸れない。

逃がさないみたいに。

アレンは一歩前へ出た。

「今は休ませるべきです」

「へぇ」

ラビが笑う。

でも目は笑っていない。

「アレン、お前さ」

低い声。

「さっきから随分踏み込むじゃん」

空気が張り詰める。

アレンは視線を逸らさなかった。

「当然です」

静かな声。

「ティファは、僕にとって大切な人ですから」
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