第20章 【第十九話】もう譲れない
「……寒ぃ?」
低い声。
私は小さく首を振る。
「平気」
「嘘」
ラビの腕が、そっと私の肩を抱き寄せた。
傷を避けるように。
優しい。
その優しさが、逆に苦しかった。
するとラビは、諦めたみたいに長く息を吐いた。
そして。
唇の代わりに、私の額へそっと口付ける。
「……今日はこれで勘弁して」
あまりにも優しい感触に、胸の奥が甘く疼いた。
ラビは額から唇を離したあとも、すぐには距離を取らなかった。
絡めた指へ、僅かに力が籠もる。
「……でも」
耳元へ、掠れた声が落ちた。
「次は、たぶん我慢しねぇから」
呼吸が止まる。
ラビは私の反応を確かめるみたいに一瞬だけ目を細めると、今度こそ名残惜しそうに手を離した。