第19章 【第十八話】偽物じゃなかった愛~クロウリー編③
私は反射的に顔を逸らした。
胸の奥が、また嫌にざわつく。
先ほどのエリアーデへの“ストライク”。
あの言葉が、まだ胸のどこかへ引っ掛かっていた。
しかも今は、こんな近い距離で抱き留められているせいで、余計に落ち着かない。
「……一人で歩けるわ」
そう言って離れようとする。
けれど、ラビの腕は緩まなかった。
「却下」
即答だった。
「お前今、顔真っ白」
「でも……」
「でもじゃないさ」
ラビは軽く息を吐く。
その声音が妙に優しくて、胸がさらにざわついた。
一方、アレンは意識を失ったクロウリーを見下ろしながら、静かに口を開く。
「僕はここに残ります」
左腕のイノセンスを見つめる横顔は、まだ少し痛々しかった。
「クロウリーを、一人に出来ませんから」
私は小さく頷いた。
するとラビが、自然な動作で私の腰を支えた。
「ほら、病院行くさ」
「……ありがとう」
思わず呟くと、ラビが少しだけ笑った。
「珍しく素直だな」
その返答に、胸がまた小さく騒いでいた。