• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第19章 【第十八話】偽物じゃなかった愛~クロウリー編③


エリアーデが眉を寄せる。

クロウリーは小さく俯いた。

そして。

「私もずっと――」

低い声が、壊れた部屋へ落ちる。

次の瞬間、クロウリーが顔を上げた。

その瞳には、もう迷いがなかった。

「お前を殺したかった!!」

咆哮。

次の瞬間、クロウリーが床を蹴った。

獣のような速度でエリアーデへ迫り、その肩口へ牙を突き立てる。

「っ――!?」

エリアーデの身体が大きく揺らいだ。

クロウリーはそのまま噛み付いた身体を振り払うように投げ飛ばす。

轟音。

エリアーデの身体が砕けた壁際へ叩き付けられた。

周囲では食人花の群れが暴れ狂い、蔓の向こうからラビ達の叫び声が途切れ途切れに響いていた。

けれど、クロウリーの目にはもう、エリアーデしか映っていない。

エリアーデはゆっくり宙へ浮かび上がると、無数の泡玉を生み出した。

月光を受けて煌めくそれは、一見すれば幻想的ですらあった。

だが、次の瞬間。

泡玉のひとつが、近くの食人花へ触れる。

じゅわり、と嫌な音が響いた。

巨大な花弁が一瞬で萎れ、みるみる水分を奪われて、黒く干からびていく。

クロウリーは、それを静かに見つめていた。

だが、視線を戻すより早く、一つの泡玉が彼の左腕へ触れる。

「っ……」

じゅっ、と音を立てて、左腕が蒸発していく。

肉が崩れ、砂のように零れ落ちる。

けれど、クロウリーは叫ばなかった。

ただ静かに、自分の腕を見下ろす。
/ 537ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp