第19章 【第十八話】偽物じゃなかった愛~クロウリー編③
食人花が、ぶわっと花弁を開く。
「え、ほんとに効いてる……!?」
私は呆然と呟いた。
すると、私へ巻き付いていた蔓が、するすると僅かに緩む。
「っ……」
食人花が、じっと私を見る。
完全に“待ってる顔”だった。
「ティファも!!」
ラビが必死に叫ぶ。
「愛を語るさ!!」
「無理よ、こんなの!!」
「食われるよりマシ!!」
巨大な花弁が、期待するみたいに揺れる。
私は羞恥で泣きそうになりながら、震える声で口を開いた。
「……あ、愛してる……」
その瞬間。
食人花より先に、何故かラビとアレンの動きが止まった。
「……っ!!」
顔が一気に熱くなる。
「は、花っ!! 花に言ったのよ!!」
けれど、ラビは耳まで真っ赤にしたまま硬直していた。
「……やべぇ、破壊力あるさ」
「同感です……」
その瞬間。
食人花が、ぶわあっと嬉しそうに花弁を全開にした。
「効いたぁぁ!!」
ラビが叫ぶ。
だが、次の瞬間。
食人花は私を拘束したまま、嬉しそうに身体をぎゅうっと締め付けた。
「きゃぁぁっ!?」
「ティファ、めっちゃ気に入られてるさ!!」
「嬉しくない!!」
その騒ぎを嘲笑うみたいに、蔓の向こうから激しい衝撃音が響いた。
私達が食人花に阻まれている間にも。
クロウリーとエリアーデの戦いは、始まっていた。