第19章 【第十八話】偽物じゃなかった愛~クロウリー編③
その時だった。
「――あ」
アレンが、何かを思い出したように目を見開く。
「そうだ……!」
「はぁ!? 何か思い出したん!?」
ラビが食人花に噛み付かれそうになりながら叫ぶ。
アレンは、拘束されたまま慌てた声を上げた。
「最初に花へ襲われた時、どこかで見たことがあると思ったんです!」
「いや説明は後!!」
「師匠と旅していた頃、僕、これと同種の花を世話したことがあります!!」
一瞬、沈黙。
ラビが、ぽかんとする。
「……マジで!?」
「はい!!」
アレンは真顔で頷いた。
「この花、好意を持った相手には噛み付きません!」
「えぇ!?」
思わず間抜けな声が漏れた。
アレンは必死に続ける。
「だから愛情を伝えてください!!」
「いやいやいや!!」
ラビが目の前の巨大な食人花を見る。
食人花も、ラビを見る。
「こんなバケモン相手に!?」
けれど、アレンは本気だった。
「ちゃんと“好き”って伝えれば大丈夫です!!」
ラビが沈黙する。
そして。
「……分かった!」
急に覚悟を決めた顔になった。
「やるしかねぇさ!!」
次の瞬間。
ラビが真顔で食人花へ叫ぶ。
「愛してる!!」
崩れた部屋へ響き渡る大声。
「愛してる! 愛してる! 愛してる!」
食人花が、ぴたりと止まった。
「うおっ、効いた!?」
ラビが目を見開く。
巨大な花弁が、嬉しそうにふるふる揺れていた。
アレンも慌てて続ける。
「愛してる! 愛してる!」