第18章 【第十七話】歌声は吸血鬼を惑わせる~クロウリー編②
その瞬間だった。
「貴様らかァ!!」
墓地へ轟く絶叫。
「よくもエリアーデを泣かせたなァァッ!!」
私達が顔を上げた瞬間、頭上の古びた尖塔から巨大な影が飛び降りてきた。
轟音。
石畳が砕ける。
土煙の中から現れたのは――アレイスター・クロウリー。
真っ白な肌。
剥き出しの牙。
血走った紅い瞳。
その全身から、獣みたいな殺気が噴き出していた。
そして、尖塔の影にはもう一つ、人影があった。
紫の衣装。
白い肌。
紅い唇。
エリアーデが、クロウリーを見下ろしながら静かに微笑んでいる。
まるで、自分のために牙を剥く獣を愛でるみたいに。
クロウリーが叫んだ。
「エクソシストめ!! 一匹残らず倒してやる!!」
「待ってください!」
アレンが咄嗟に前へ出る。
左腕を構えながらも、攻撃はせず、クロウリーを真っ直ぐ見据えた。
「僕達は貴方を殺しに来たんじゃありません!」
「貴方が倒していたのは、人間じゃない。AKUMAです!」
必死な声。
けれど、クロウリーの瞳に理性はなかった。
「黙れェ!!」
咆哮。
「エリアーデは言っていた!! エクソシストと名乗る化け物共が、自分を殺しに来ると!!」
地面が爆ぜる。
クロウリーが、一瞬でアレンの懐へ飛び込んだ。
人間離れした速度。