第17章 【第十六話】吸血鬼退治と三人の距離~クロウリー編①
リナリーは真剣な声で聞いていた。
けれど。
『……吸血鬼?』
その瞬間、彼女の声色が変わる。
『だ、だめよアレン君!!』
「え?」
『吸血鬼に噛まれると、吸血鬼になっちゃうらしいから!! 絶対噛まれないでね!?』
沈黙。
森を風が抜ける。
私は、隣のアレンとラビをちらりと見た。
二人とも、何とも言えない顔をしている。
……リナリー、本気で信じてるんだ。
アレンが困ったように眉を下げる。
「リ、リナリー。まだ本当に吸血鬼かどうかは――」
『とにかく気を付けて!!』
リナリーは本気だった。
ラビが堪えきれず吹き出す。
『ラビ笑わない!!』
「いやだってさぁ」
『もしティファが吸血鬼になったらどうするの!?』
その瞬間。
ラビが真顔になる。
「それは嫌」
言ってから、自分でも反応の速さに気付いたらしい。
ラビが気まずそうに視線を逸らす。
アレンがじとっとした目を向けた。
「ラビ、今の反応早過ぎません?」
「……うるせぇ」
私は妙に居心地が悪くなって、小さく咳払いした。
その横で、アレンがふと私を見る。
「ティファは?」
「え?」
「もし僕が吸血鬼になったらどうします?」
真面目な顔だった。
私は一瞬だけ困って、それから苦笑する。
「……とりあえず師匠に押し付ける」