第17章 【第十六話】吸血鬼退治と三人の距離~クロウリー編①
「ティファ、無理はしないでくださいね」
アレンの穏やかな声音が聞こえてくる。
けれど、その瞳は真剣だった。
「今回は相手が何なのか、まだ分かりませんから」
ラビが小さく鼻を鳴らす。
「アレン、お前過保護」
「ラビに言われたくありません」
即答。
「さっきからずっとティファ気にしてるでしょう」
「そりゃ気にするさ」
ラビが当たり前みたいに返す。
その言葉に、胸がまた少しだけ落ち着かなくなる。
アレンは小さく息を吐いた。
「……僕だって、心配くらいします」
静かな声だった。
張り合うような言い方ではない。
けれど、その言葉の奥には、簡単に流せない真剣さがあった。
ラビが一瞬だけアレンを見る。
私は思わず二人を見比べた。
空気が少しだけ張る。
その時だった。
「お、お三方……?」
村長が恐る恐る声を掛けてくる。
三人同時に振り向く。
「「「すみません」」」
綺麗に声が重なった。
数秒。
ラビが吹き出す。
アレンも堪え切れず小さく笑った。
私までつられて笑ってしまう。
さっきまで死ぬほど怖がっていた村人達が、ぽかんとこちらを見ていた。
けれど、その空気のおかげか。
少しだけ、集会所の重苦しさが和らいでいた。