第17章 【第十六話】吸血鬼退治と三人の距離~クロウリー編①
村長ゲオルグは震える手で杖を握り締めた。
「……実は」
低い声が、静まり返った集会所へ落ちる。
「クロウリーが暴れ出す少し前、この村へある旅人が訪れたのです」
ラビと私は顔を見合わせる。
嫌な予感。
村長は続けた。
「旅人は、自らを“神父”と名乗っておりました」
その瞬間、ラビが露骨に嫌そうな顔をする。
「あー……」
私も頭痛を覚え始める。
アレンは静かに目を閉じた。
「……嫌な予感しかしません」
「その旅人は、クロウリー城への道を聞いてきたのです。我々は必死に止めました。死ぬかもしれぬ、と……」
村人達も思い出したようにざわつく。
「けれど旅人は笑っておった」
村長の顔が引き攣る。
「“そりゃ面白ぇ”と言って、平然と城へ向かってしまったのです」
沈黙。
「……絶対クロス元帥」
今度は、私とアレンとラビの声が綺麗に重なった。
ラビが額を押さえる。
「ロクでもねぇ……」
アレンが深くため息を吐いた。
「どうしてあの人、行く先々で問題増やしていくんですか……」
「師匠だから」
私が即答すると、アレンが遠い目をする。
「否定できないのが辛いです……」
その横で、ラビが小さく吹き出した。
「クロス元帥被害者、順調に増えてんな」
「ラビもそのうち入るわよ」
「嫌過ぎる」
即答だった。