第17章 【第十六話】吸血鬼退治と三人の距離~クロウリー編①
私は椅子へ縛られたまま、小さく息を吐いた。
「……とりあえず、縄解いてもらえない?」
「ほ、本当に逃げませぬか!?」
村長が不安そうに身を乗り出す。
「逃げません」
アレンが真顔で頷いた。
「僕達、こういう案件放置すると後味悪いので」
「お前その言い方どうなん」
ラビが呆れた声を出す。
けれど、その声音にはもう先程までの軽さは無かった。
完全に任務モードへ切り替わっている。
村長はなおもしばらく迷うように視線を彷徨わせていたが、やがて観念したように小さく頷いた。
「……縄を」
その一言で、近くにいた村人が恐る恐るこちらへ近づいてくる。
背後へ回った気配。
次いで、手首を締め付けていた縄が、ぎし、と音を立てて緩められた。
血の巡りが戻る感覚に、指先がじんと痺れる。
私は小さく眉を寄せながら、自由になった手首をそっと擦った。
ラビの視線が、そこへ一瞬落ちる。
「……痕、残ってねぇ?」
「平気よ」
短く答えると、ラビはそれ以上何も言わなかった。
ただ、その片目だけが僅かに細められる。
アレンもほどかれた縄を床へ落としながら村長へ話かけた。
「それで、話してもらえますか」