第17章 【第十六話】吸血鬼退治と三人の距離~クロウリー編①
老人は震える手をこちらへ向けた。
「神への祈りが通じたのじゃ……! 黒の修道士様方が来てくださった!!」
その瞳には、本気の恐怖と縋るような願いが宿っていた。
「この村の奥には、昔から恐ろしい吸血鬼が住んでおるのです」
空気が変わる。
ラビの笑みも静かに消えた。
「その名も――クロウリー男爵」
村人達が怯えたように身を寄せ合う。
「昼間は決して姿を見せず、奴の住む古城からは毎夜、獲物の悲鳴が止まることがない……」
「城へ入ったら最後、生きては出られぬと伝えられております」
アレンが縄に縛られたまま困ったように眉を下げた。
「そ、そんなまさか……吸血鬼なんて――」
その瞬間。
村長がカッ!! と目を見開く。
「お疑いか!!?」
「ひっ」
アレンの肩が跳ねる。
「ご、ごめんなさい! 続けてください!」
ラビが隣で吹き出した。
「ぷっ……」
「笑わないでくださいラビ!!」
「いやだってお前、完全に捕まった小動物なんさ……」
私は呆れながらも、集会所の空気に意識を向ける。
古びたランプの火が揺れ、怯えた村人達の顔をぼんやり照らしていた。
この村には、確かに何かがいる。