第17章 【第十六話】吸血鬼退治と三人の距離~クロウリー編①
「まだ二人いたぞ!!」
「連れてこい!!」
「吸血鬼退治してくだされぇ!!」
「えっ」
私が反応するより先に。
ぐいっ。
ラビが私の腕を引き、自分の後ろへ庇う。
「ティファ下がってろ」
低い声。
その目が鋭く細められる。
戦闘前の目だった。
その瞬間だけ、胸のざわつきが少し落ち着く。
……不思議と、この人の後ろは安心する。
そして。
集会所の中を見た瞬間、ラビが吹き出した。
「っ、はは……!」
「……え?」
私も視線を向ける。
そこには。
「ティファ!! ラビ!!」
椅子へ縛り付けられたアレンがいた。
縄でぐるぐる巻き。
完全拘束。
「助けてください!!」
「何してんさお前」
ラビが腹を抱えて笑っている。
アレンは半泣きだった。
「お弁当を買おうとしたら突然袋を被せられて連れて来られたんです!!」
「災難過ぎるわね……」
私は思わず額を押さえる。
「逃がすな!!」
突然、村人の一人が叫ぶ。
「黒の修道士様方が逃げたら村は終わりじゃ!!」
「え?」
外にも村人が居たのか、私が振り返った瞬間。
背後から縄が飛んできた。
*
「ちょっ――」
ぐるぐるぐるっ!!
一瞬で両腕を拘束される。
「ティファ!?」
ラビが顔色を変える。
その瞬間。
「お前さんもじゃ!!」
今度は村人数人が一斉にラビへ飛び掛かった。
「うおっ!?」
流石のラビも、不意打ちには対応し切れない。
しかも、村人達は本気だった。
「頼む!! 村を救ってくれぇ!!」
「死にたくねぇんじゃ!!」
泣きそうな顔で必死に縄を巻いてくる。
完全に善意。
だから逆にやりづらい。
数分後。
「…………」
「…………」
「…………」
三人仲良く、椅子へ縛り付けられていた。
完全拘束。
ラビが死んだ目で呟く。
「……なんでオレまで」
「ラビが一番逃げそうだからじゃないですか」
アレンが即答する。
「いやオレ逃げねぇし」
「さっき入口方向見てましたよね?」
「気のせいさ」
「絶対違います」
私は思わず吹き出しそうになる。
その時。
杖をついた老村長が前へ進み出た。
「皆の者!!」
ざわっ、と集会所が静まる。