第3章 【第二話】次へ繋ぐ手
低く落ちた声は、誰に向けられたものだったのか分からない。
アレンへなのか。
私へなのか。
それとも、師匠自身へなのか。
やがて足音が遠ざかり、廊下には再び雨の音とアレンの嗚咽だけが残された。
――笑えねぇな。
―― いつか、お前自身まで食い潰すぞ。
その言葉は、喉の奥へ小さな棘のように残った。
けれど、今は考える余裕などなかった。
腕の中で、アレンが私の服を掴み直す。
私はそっと抱き締める腕へ力を込めた。
今だけは。
この子を、一人にしたくなかった。
ただ、それだけだった。