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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第3章 【第二話】次へ繋ぐ手


師匠のように、強く言い切ることはできなかった。

私自身、今も迷っているから。

それでも、アレンの足元から道が消えてしまわないように、言葉を差し出したかった。

アレンの瞳が、大きく揺れる。

「……ティファは……苦しくないんですか」

「苦しいわ」

嘘はつかなかった。

「今でも、時々息ができなくなるくらい」

「……それでも……」

「うん。それでも、歩いてる」

微笑もうとした。

けれど、上手く笑えたかは分からない。

次の瞬間。

アレンの顔が、くしゃりと歪んだ。

「……僕……」

喉から零れた声は、幼い子供のものだった。

「僕……マナに、もう……謝れない……」

その瞳が、大きく揺れる。

ずっと乾いたままだった瞳に、初めて透明な雫が滲んだ。

一粒。

頬を伝い、床へ落ちる。

まるで、失ってからずっと凍りついていた悲しみが、ようやく涙の形を取り戻したみたいだった。

「謝りたいのに……会いたいのに……!」

次々と涙が溢れ出す。

アレンは震える手で自分の胸元を押さえ、息を詰まらせた。

「僕が……僕が、マナを……!」

私は反射的に手を伸ばした。

けれど、触れる寸前で迷った。

アレンの痛みを、安易に抱き締めてしまっていいのか分からなかった。

その一瞬の躊躇いを越えるように、アレンの指が私の袖を掴んだ。

ぎゅっと。

縋りつくように。

私は息を呑む。

アレンは顔を上げない。

ただ、離れてほしくないと訴えるように、私の袖を握り締めている。

だから私は、ゆっくり膝をついた。

そして、震える身体をそっと抱き寄せた。

「……うん」

他に、何も言えなかった。

許されるとも。

忘れていいとも。

もう苦しまなくていいとも、言えない。

「……会いたいよね」

その一言を口にした瞬間、アレンは私の胸元へ顔を押しつけ、声を上げて泣いた。
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