第15章 【第十四話】言いかけた熱
療養生活に入って、数日。
右腕の傷は少しずつ塞がりつつあったが、医療班から任務復帰の許可はまだ下りていなかった。
「とにかく、安静にすること」
白衣の医師には、回診のたびにそう釘を刺されている。
けれど、じっと部屋に閉じこもっている時間が長くなるほど、身体の奥が妙に落ち着かなかった。
――少しは、自覚しろ。
不意に蘇った声に、小さく息を止める。
翡翠の瞳に宿っていた熱。
ベッドへ押し倒された時の、息が触れそうな距離。
耳元へ落ちた、低く掠れた声。
思い出した瞬間、胸の奥がまた落ち着かなくなる。
誤魔化すように、左手で右腕の包帯へ触れた。
……なんなの、あれ。
考えようとするたび、頭に薄い霞がかかったように上手く回らなくなる。
その停滞に耐えきれず、私はその日も修練場へ足を運んでいた。