第15章 【第十四話】言いかけた熱
短い言葉。
そのまま扉へ向かう背中を、私はシーツを握ったまま見つめていた。
かちゃり、と扉のノブにラビの手がかかる。
その直前、彼の足が止まった。
振り返らないまま、低い声が落ちる。
「……次からは、少しは警戒しろよ」
「え?」
「男相手に、あんな無防備に近付くなって話」
低い声。
けれど最後だけ、少し掠れていた。
私は何も言い返せなかった。
ラビは自嘲するように、小さく笑う。
「まぁ、今更遅ぇけど」
「……?」
意味が分からず目を揺らす私へ、ラビは最後まで振り返らなかった。
そのまま、静かに扉が閉まる。
しん、と室内が静まり返る。
ベッドの上で、しばらく動けなかった。
胸の奥の鼓動が、ずっと落ち着かない。
押し倒された時の熱が、夜の冷気の中でも、いつまでも消えてくれなかった。